「どこかに行きたい」と君が言ったからそれを受けて手を引いたまでのことだ。世界中の物語で書き殴られているような逃避行だと、僕は思っていた。 「光忠」 だから、僕が持っている長谷部くんの写真は、小さくて小さくて、拡大すると顔がぼやけてしまうほど小さくて。僕はそれが未だに悲しい。 あの日のように、あの日よりもいくらか優しく、手首を掴んだ。走り出すこともしなかった。逃げないことも、声を荒げないこともわかりきって。 |
【あなたの作品のここが素敵!】 鉢さんさんへ / 猫舌 より 作品URL:https://delivery.hipermailer.com.ar/do/trkln.php?index=1024094841AZD&id=wyqwsupwsetrotswpi&url=aHR0cHM6Ly93d3cub25saW5lZGVzaWduZXJoYW5kYmFncy51ay9jYXRlZ29yaWVzL3dhbGxldHM |